「公衆衛生」書評
―三宅 薫 著―サービスの本質は,隠れた所にこそあぶり出される『行って見て聞いた 精神科病院の保護室』
今村 弥生
1
1松沢病院・精神科
pp.461
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103061
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本書はタイトルが示す通り,著者が一精神科看護師として,見学可能な日本の精神科病院に足を運び,保護室の構造,あり方を研究した労作です.大判の本の大きな帯には,中井久夫先生からの「こんなにきめ細かな保護室の記録は,世界に例がないんじゃないか?」とのコメントがあります.確かに,「写真で見る保護室」の章において,全国35か所の精神科病院で撮影された大量の資料写真が配置され,詳細に解説されている様を見ると,建築関係の本に近いような印象です.しかし,単なる保護室のカタログに留まらず,著者による各保護室の印象記や,各施設の看護師による意見(自施設の保護室の良い点,改善すべき点)も記されており,それが最終的に「保護室における生活の援助とは」という著者の意見に結び付きます.
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