書評
—三宅 薫 著—行って見て聞いた—精神科病院の保護室
今村 弥生
1
1東京都立松沢病院・精神科
pp.988
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200037
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
サービスの本質は隠れた所にこそあぶり出される
本書はタイトルが示す通り,著者が一精神科看護師として,見学可能な日本の精神科病院に足を運び,保護室の構造,あり方を研究した労作です。大判の本の大きな帯には,中井久夫先生からの「こんなにきめ細かな保護室の記録は,世界に例がないんじゃないか?」とのコメントがあります。確かに,「写真で見る保護室」の章において,全国35か所の精神科病院で撮影された大量の資料写真が配置され,詳細に解説されている様を見ると,建築関係の本に近いような印象です。しかし,単なる保護室のカタログにとどまらず,著者による各保護室の印象記や,各施設の看護師による意見(自施設の保護室の良い点,改善すべき点)も記されており,それが最終的に「保護室における生活の援助とは」という著者の意見に結び付きます。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.