特集1 使える!理論とモデル
タイダルモデルで自殺のリスク対策
秋山 剛
1
,
山本 沙織
1
1NTT東日本関東病院
pp.24-29
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101175
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タイダルモデルが提唱すること
タイダルモデルは、東洋の哲学にも造詣が深いフィリップ・バーカーが、①ヒルデガード・ペプロウが発展させた対人関係の考え方、②バーカー自身、そしてジャクソン、スティーヴンソンが「看護の必要性についての研究」から発展させた精神科・精神保健看護の理論、③対人関係や教育的介入によるエンパワメントの理論の3つを、理論的な枠組みとして発展させたものである。バーカーは、患者の経験から学ぶことを重視し、次のように述べている。
「私は月に行ったことはありませんが、30年以上前にニール・アームストロング船長が人類にとって最初の大きな一歩を踏み出したのを、テレビで見ました……月まで宇宙船で旅行し、月の上を歩くことがどんなものであるか、もし私が知りたければ飛行士に直接尋ねる必要があります……ニール・アームストロングは、月上での歩行について私に教えることがたくさんあるでしょう……このたとえは、精神疾患にもあてはまります。さまざまな精神障害に襲われることが、どんなことであるのか、私たちは患者から多くを学ぶことができます。患者のあとについて狂気の世界に入ることがないとしても、この疎外的な体験について多くを学ぶことができます。ケアをおこなっている人たちの経験について学び、よりよく理解すれば、彼らは異質でなくなります」
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