特集2 タイダルモデルで行なう院内自殺予防 NTT東日本関東病院の取り組みから
看護師がすべてわかっていなくていい。患者本人に聞いてみよう―タイダルモデルから,シリアスな場面を乗り越えるコツを学ぶ
萱間 真美
1
1聖路加看護大学精神看護学研究室
pp.485-488
発行日 2013年6月10日
Published Date 2013/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102793
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熟練になるまでに燃え尽きる,看護の日常
看護の日常は,シリアスな場面の連続だ。普通の人生を送っていれば,一生に数回しか経験しないであろう人の死や,パニック寸前になるような急変の場面に絶え間なく向かい合わなくてはならない。私たちは「常に冷静であれ,相手に寄り添え」と教育を受ける。自分を持ちこたえさせるだけで精いっぱいの新人看護師であっても,その場面で唯一の専門家であるならば,努めてそれらしく振る舞わねばならない。どんなときにも冷静にと思えば思うほど,肩に力がぐっと入る。「私が」しっかりしなくては,「私が」状況をコントロールしなくては,と。
熟練し,こうしたシリアスな場面を多く乗り越えてきた専門家のなかに,こうした場面で肩の力が抜けているようにみえる人たちがいる。あまり無理せず,力を入れず,それでいて対象者の気持ちをうまく引き出し,自然に寄り添うことができる。ケアの対象者はそのことで癒され,自分らしさを取り戻していく。
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