調査報告
タイ北部におけるNGOによるエイズ対策
大森 絹子
1,2
1ワールド・コンサーン・インターナショナル
2エイズプロジェクトコンサルタント
pp.748-753
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901579
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男性同性愛者の最初のエイズ症例が,1984年にタイ国内で報告されて後,HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者とエイズ患者は,麻薬注射の回しうちによる麻薬常用者間で広がり,次に売春婦の間で,次いで買春行為も含めた不特定多数との無防備な異性間性的接触者の間で急激に増加した.そして遂に,1992年ごろより彼らの配偶者や母親から感染した子どもたちへと急激に増加しつつある.
西暦2000年には,タイ国内で300万人から400万人のHIV感染者が予測され,そのうち女性感染者が50%を超えるとされている.タイ国北部6県(チェンマイ,メェホンソン,チェンライ,ランパン,ランプン,パヤオ)の人口は,タイ総人口(5,800万人)の僅か10%であるが,タイ全体のエイズ患者の50%を占めており1),エイズ問題は深刻である.
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