特別記事
生活保護をめぐるトンデモ報道にひとこと―ドヤ街の一臨床医から
鈴木 伸
1
1ことぶき共同診療所
pp.74-80
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101162
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生活保護をめぐる報道の危うさ
最近、さまざまなメディアで「生活保護」へのバッシングが吹き荒れています。生活保護の受給者が210万人を突破したとの報道の後、お笑い芸人の母親の生活保護不正受給騒動(これは「不正」ではなかったわけですが)以後、「生活保護を不正にもらっている人がいるのではないか」と、芸人やアイドルなどが次々にやり玉にあげられるという事態となりました。さらに、「生活保護費の半分が医療費だなんておかしい」「自己負担がないから頻回に病院を受診し、それが医療費を押し上げている」など、生活保護による医療費(医療扶助)への批判が始まりました。
テレビでは、生活保護受給者が病院でもらった睡眠薬や湿布を売って小金を稼いでいる場面や、「暇だから毎日病院に通っているよ」などという一部の利用者の声を流して、生活保護を受けている人がまるでみんな不正をしたり、暇つぶしに病院に通っているような印象を与える番組までもありました。
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