発言席
ボランティアからひとこと
小川 有子
pp.409
発行日 1980年6月10日
Published Date 1980/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206253
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私は老人給食サービスのボランティアとして保健婦との出会いを持った。3万人に近いこの地区で1975年10月から始めた,月2回の配食と年3回の昼食会は独居老人を中心にねたきり,老夫婦,身障者,又出産後病気の母子にも関わってきた。お弁当を作って届けるまですべてボランティアの手であるが,保健婦は相談役として助言し,老人へのアドバイスをお弁当にもつけている。
保健婦も行政の人間だなとその壁を感じることもある。しかし,多少のことがあっても保健婦に望みを託すのは,民生委員や,畑違いからその仕事を受け持つケース-ワーカー,そしてボランティアと違って,もっとも専門性を持ち,地域の総合的な役割を持つことができるのではないかと思うからである。しかしながら,現実には地域との関わりにおいて,公民館に家庭婦人や老人クラブの人を集め,健康の話をして事足れりとしているかに見える場合がある。更に神奈川県では保健婦が駐在する保健ステーションが形骸化し,リハビリの中心的役割やケースごとの連絡調整の場,又住民の健康に関する気軽な拠点等々の機能も十分に発揮しているかどうか疑問に思える。人も建物も生き生きと動かすことは,地域にとって極めて重要なことである。
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