特集2 保護室をめぐる私の看護考
信頼関係のつくり方
中世古 泰
1
1三重県立志摩病院精神科病棟
pp.55-57
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101159
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1978年、私は民間の精神科病院に入職し、初めて保護室というものを知った。コンクリートの壁に、厚さ10cmはあると思われる鉄製の重い扉。目の高さに作られた細い隙間(観察窓)と、足元に作られた扉付きの配膳口。そして床に穴を開けただけの丸見えのトイレ……。薄暗いその部屋に10分も閉じ込められたら、私は平常心でいられなくなるのではないかと思った。それまでの生活の中では考えたこともなかった世界だった。あのときの強烈な保護室への印象は、今でも鮮明に覚えている。
あれから35年、保護室の居住空間は格段に改善された。開放化や個室化も進んだ。その一方で、いまだに精神科にとって保護室は必要とされる空間だ。
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