特集2 保護室をめぐる私の看護考
「生活環境を整える」という視点が大事
大谷 須美子
1
1財団法人信貴山病院ハートランドしぎさん
pp.51-54
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101158
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◆保護室に風穴を開けた研究に驚愕
過去を振り返ると、精神科看護の面、法的な面、人権への配慮の面等、あらゆる側面において、なんと稚拙で未熟な知識と技術で、入院している患者に対応していたのだろうと恥ずかしく思う。そして時代の変化やさまざまな人との出会いにより、多様な価値観や常識の違いに触れながら、影響を受け、変化してきた自分自身に気づく。
本書の著者である三宅薫さんは、私に大きな影響を与えた1人である。2009年に『精神看護』の特集となった「保護室がいっぱい」を見た私は驚愕した。精神科病院という閉鎖的な空間の中でも、特に保護室は、多くの精神科看護師が自施設以外の状況を知る術がなかった場所だ。また、開示・共有することが暗黙のタブーであったような感覚もあった。そんな中、三宅さんの研究は、タブーを打ち砕く革新的なものであったからだ。
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