特集 思春期の健康—現代の抱える心の問題
子どもと信頼関係を持つ—児童館活動から
澤畑 勉
1
1世田谷区立烏山児童館
pp.455-458
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901787
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
児童館とは
児童館とは,児童福祉法第40条に基づく児童厚生施設です。私は「0〜18歳までのすべての人たちの問題(解決しなければならないこと)を一緒に考えていくところ」だと考えています。ですから,児童福祉法に定められた0〜18歳の人たちだけでなく,彼らの問題を一緒に考えていこうとするすべての大人たちが集うことのできる場所でもあります。実際,ここには子どもたちだけでなく,少年事件を起こしたり,学校に行きそびれてしまった子の親や学校関係者,保護司らもやって来ます。児童館はそうやって持ち込まれた相談に指示・命令することなく,一緒に考えていくところで,すぐには解決に結びつかないこともあります。ただし,「それだったら児童相談所へ行ってください」「保健所が取り扱ってますから」というように,突き放してたらい回しにすることはしません。
もう1つ,児童館の特徴として子どもの生活領域に必ず存在する,世田谷区(58km2)の中に6月現在25館あります。区内に4保健所1相談所があるんですが,子どもたちの足が自転車であることを考えると,区内全域をカバーしているとは言えないわけです。また,そのような子どもたちの居場所には,家庭,学校,塾,習い事の教室など,いろいろありますが,そこにいることが義務である場合が以外と多いのです。児童館には強制力はありません。内申書も出席簿もありません。言い換えれば子どもが来たいと思って選ばないかぎり来ないところですよね。子どもが権利の主体者となれる施設,児童館とはそんなところです。
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.