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シカゴ訪問記―思春期の自傷行為のケアを求めて
郷良 淳子
1
1大阪府立大学看護学部
pp.81-85
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100755
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2008年10月の終わりの1週間、米国シカゴのRush大学のDelaney博士を訪ねた。目的は、頻回な自傷行為を呈する思春期の子どもの感情統制ストラテジー研究だ。感情統制を可能にするプログラムや、看護の介入方法として参考にできる実践がないかを視察したいと思ったのだ。
2008年に思春期精神看護の文献レビューを行った際、博士が2006年『Journal of Child & Adolescent Psychiatric Nursing』11月号で、子どものアセスメントに関する特集号に5つの論文をまとめているのを発見した。どの論文も、観察を通して学ぶことをテーマに、感情統制やコーピング、彼らの認知などを理論と結びつけアセスメントし、実践で用いやすくするように要点をまとめて展開されていた。患者の語りは、大人の視点からだけでは決して理解はできないとし、大人であるわれわれが思春期の行動をどうみるべきかを適切な理論を用いて説明していた。博士の実践現場の現象への豊かな眼差しが感じられ、この人に会ってみたい、できればこの人が研究をしたり実践している現場で日本での看護の骨子のヒントを得たいと思った。そして幸運なことに、博士を訪ね、彼女の作ってくれたスケジュールをもとにいくつかの現場をみることができた。さらに、日本において自傷行為をする思春期の子どもたちへのケアに役立つ研究の足がかりを得ることができた。ここでは、今回の訪問で得た知見を紹介したいと思う。
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