連載 精神看護キーワード事典・5
プライバシー―守られるのは誰か
萱間 真美
1
Mami Kayama
1
1聖路加看護大学・精神看護学
pp.100-104
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100013
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●知られたいこと、知られたくないこと
私には、人に知ってもらいたいことと知ってもらいたくないことがある。知ってもらいたいことは、私は自分の口から話すし、自分で文字に書くこともある。「社会的に」自分がどう見られたいかという自分なりのイメージがあって、それを基準にその情報を出すか出さないかをコントロールする。知られてもよい範囲の情報であれば、聞かれればさらに答えることもあるが、それ以上は知られたくないと判断したら「それは内緒です」といって話さないようにする。
この境界線は明確に文字にしたものがあるわけでなく、相手との関係性や、その日の気分によって多少動くこともある。体調が万全で安定しているときは、多少のことは話しても大丈夫だと思うが、寝不足でいらいらしているとどんなことでも話したくないと思う。相手を信頼できると思っていれば多くを話してもよいと思えるが、警戒する相手ならほとんど話さないというように。
しかし、ここで大切なのは、自分がそれをコントロールできているという感覚である。自分が「公」と「私」両面のバランスをとっているという自信をもつということが、社会人としての生活の基盤を成り立たせている。
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