特集2 「神経発達障害仮説」を理解した上で看護をしよう
―これが最先端。ここまでわかってきた―統合失調症の発症と「遺伝子」「環境」との関連
長嶺 敬彦
1
1清和会吉南病院内科
pp.42-46
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100455
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1.遺伝子
遺伝というと、古典的にはメンデルの法則で、親から子どもへ確実に引き継がれる印象があります。この考え方で、多くの統合失調症の患者および家族は悩んでいるのです。家系でこの病気になったという偏見を生むからです。
単一の遺伝子で統合失調症を発症することは非常に稀です。染色体異常を伴うスコットランドの家系からクローニングされ同定された遺伝子があります。DISC1(disrupted-in-schizophrenia-1)という遺伝子です。現在統合失調症になる確実な遺伝子としてはこのDISC1くらいです。ということは、単一の遺伝子では統合失調症の発症を説明できないのです。つまり統合失調症はメンデルの法則に従うような遺伝疾患ではないのです。
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