特集2 「神経発達障害仮説」を理解した上で看護をしよう
患者さんが、今、どの病期にいるのかという視点をもちましょう
長嶺 敬彦
1
1清和会吉南病院内科
pp.34-41
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100454
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神経発達障害仮説とは…
最近の神経科学(neuroscience)によれば、統合失調症はドーパミン神経の「発達障害」が原因と考えられています。“幻覚・妄想”は中脳辺縁系のドーパミンの「過剰」が引き起こしているのですが、そもそもはドーパミン神経の発達が不十分で、ドーパミンが「不足」している状態が存在するのではないか、という仮説です。
幼少時期はドーパミンの不足は表面化しません。脳が成熟するにつれ、思春期以降にドーパミン神経系への負担が増大すると、ドーパミンの欠乏が表面化します。この時期が前駆期で、奇妙な思考やごく軽微な運動機能障害、陰性症状が現れはじめます。しかし日常生活ではほとんど目立ちません。さらに思春期以降にドーパミンの欠乏に対してそれを補おうとするはたらきが生じ(フィードバック)、中脳辺縁系のドーパミンが過活動となり、幻覚・妄想が出現し、統合失調症を発症するのではないかと考えられています。
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