特集2 どうやってもうまくいかなかった「境界例」
―厄介な患者への対処法―「禁じ手」,そしてその「根拠」
宮川 香織
1
1東京医科大学精神科
pp.75-84
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100339
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「ボーダー」談義
「厄介な患者」と呼ばれる人たちがいる。別にもっている病気が厄介であるということではない。病気の種類と関係なく扱いづらいというのが,この「厄介さ」の意味である(ただ病気が厄介であるというなら精神科の患者ほとんどがそういわれてしまう危険性がある)。
「厄介な患者」にはその人相風体にこれといった共通点はないようである。病棟看護師や担当医師を泣かせるという点では同じだが,泣かせ方にもいろいろある。精神科医をやっていると,精神科病棟あるいは往診に行った身体科の病棟で「厄介な患者」と呼ばれる人たちにしばしば遭遇する。そのなかには精神科の管轄でないような「厄介」もあるし,まさしく精神科的「厄介」もある。要するにひとくくりにそういう呼び名で呼ばれているものの,どうも「厄介な患者」には何種類かあるようなのだ。
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