今月の表紙
百聞は一見に如かず・22 アミロイド,この厄介なもの
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.918
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100136
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アミロイドーシス(amyloidosis)はアミロイド(amyloid)と呼ばれる物質が種々の臓器に沈着する疾患群である.アミロイドは単一の物質ではなく,3~30kDaのポリペプチドから成る種々の前駆体蛋白質がβひだ状シート構造をとって重合したもので,アミロイドP成分(AP)などと会合して蛋白質分解酵素に抵抗性の不溶性物質として組織に沈着する.このため,不可逆的な種々の臓器障害をもたらす大変厄介な疾患である.病理組織学的に,HE染色(hematoxylin-eosin stain)で好酸性硝子様物質として認識され,コンゴーレッド染色(Congo-red stain)で橙色に染まり,その偏光顕微鏡観察により緑色偏光を示す.電子顕微鏡的には径8~10nmの線維として確認される.この疾患の発症は不顕性で,アミロイドの沈着した臓器とその程度により種々の多彩な症候を示すので,診断は極めて難しい.臓器障害が明らかになった時点では対処時期を逸していることが多い.関節リウマチや長期血液透析に伴う型があるので,早期の診断と対処が必要である.なかにはアミロイド沈着が急速に進行し,死に至り,剖検によって初めて診断されることもある.そもそもこの疾患は病理学者であるウィルヒョー(Virchow RLK)によって命名された(1853年).アミロイド前駆物質の由来や成分により分類されていて,代表的なものに,次のようなものがある.
1 . 免疫グロブリン由来:AL(amyloid light chain,軽鎖),AH(amyloid heavy chain,重鎖)→ALあるいはAHアミロイドーシス(多発性骨髄腫に伴うものがある)
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