文学の中の看護
小説“禁じられた遊び”にみる死
清水 昭美
1
1大阪大学医療技術短期大学部
pp.571-577
発行日 1975年9月25日
Published Date 1975/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906920
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ルネ=クレマンの,あの名画“禁じられた遊び”は,美しいメロディーとともに,叙情性豊かに戦争孤児のあわれさを訴える傑作として,日本でも大反響をもたらした.
しかし,フランソワ=ボワイエが1947年,第2次大戦直後に書いた同名のこの小説は,それ以上に読後に強烈な印象を残す.映画の訴えがなんと甘く,弱々しいものだったか,と思えるほど,深く,鋭く世の人々の矛盾を指摘する.米国で100万部以上を売ったベスト・セラーというのも,なるほどとうなずける.乾いた筆致がやや難解ではあるが,映画以上の傑作であることは間違いない.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.