特集2 どうやってもうまくいかなかった「境界例」
事例を読んで、こう思った
➃「境界例はやっぱりうまくいかない」から脱却してほしい
山崎 千鶴子
pp.69-74
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100338
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スタンダードなケアはかなりできている
「境界例」に対するスタンダードなケアは,5~6年前から比べるとかなりナースの間で徹底されてきている。カンファレンスに参加したり,相談を受けた境界例のケースのなかでは,入院の目的が患者と医療者の間で共有できていなかったり,医師が受容的で治療枠組みが不明確だったり,医師と看護師の見立てや方針の違いはあっても,「看護師間が分裂させられる」「病棟運営が破壊される」などということは,ほとんど経験しない。もっと早い段階でカンファレンスへの参加の依頼がきて,細かに話し合いが行なわれるし,病棟全体やチームの状況をみながら,主治医に早めの終結を打診する管理者もいる。これは境界例の病理の理解が周知され,「分裂」「破壊」にはある程度の構えができるようになったからだと思う。
用語の訳し方の問題だろうが,「破壊」という言葉はいかがなものか。病棟全体を巻き込み混乱させることはあっても,「病棟運営を破壊する」状態に至るようでは,患者の病理の問題ではなく,そこまで放置していたチーム力不足と管理の問題であると思う。
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