特集1 「支え」と「介入」をめぐる精神看護4話
[第三話]親しい人の突然の死で不穏になった患者さんへの介入―あの患者さんは自分だった
曽根 増美
1
1元・松山記念病院
pp.26-29
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100299
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人の心は、喜び、怒り、悲しみと、そのときどきの出来事で変化する。そのなかでも悲しみは苦しく、不安で、それが時には怒りさえ生むことがある。人は一生のなかで、さまざまなショッキングな出来事を経験することがあるが、そのなかでも最も悲しい出来事は、親しい人を突然亡くしたときではないだろうか。
『突然の死』の著者ボブ・ライトが聞き取ったたくさんの事例のなかで、1人の悲嘆にくれる母親が「突然の死は暴力です」と言ったと書いている。親しい人が突然亡くなってしまうと、身体に暴力を受けたときと同じように痛みを感じ、身体機能と生活に障害が起こる。身体の障害は、その程度や回復が自分にも周囲の人にもよく見えるが、心への損傷は自分にすらわかりにくい。
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