Coffee break
親しき仲の遠慮と過ち
大園 誠一郎
pp.128
発行日 1995年3月30日
Published Date 1995/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901455
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友人の内科開業医から久し振りの電話を受けた。温厚で人懐っこい性格が幸いしてか,多くの外来患者に囲まれた超多忙の生活を送っているとの由。しばらく旧交を暖める会話の後,彼は1人の患者を一度診て欲しいと切り出した。
聞くと,その患者は友人の親戚にあたる63歳の男性である。2年来の排尿困難があるとのことで相談を受けたため,前立腺肥大症だと考え,Chlormadinone acetateを投与したらしい。2〜3か月の服用で,排尿困難が消失したため,患者も親戚の医師という気安さから勝手に薬を止めたとのことである。その後は,排尿困難を感じた時だけ受診し,そのつど同一薬剤を投与されていた。また,受診といっても,本人が来ることは少なく,家人が薬だけもらって帰ることが多かったらしい。友人の電話の目的は,手術適応についての判断の依頼であった。
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