特別記事
アメリカにおける地域精神治療とACT―(3)エンパワメントセンター
三原 晴美
1
1マサチューセッツ州看護協会
pp.82-85
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100246
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前号まで2回にわたって,アメリカの公共の地域精神衛生機関と私立のクラブハウス形式のACTを紹介した。今回はACTではないが,同じく地域精神治療の新たな試みとして注目されている「元患者さんが運営するエンパワメントセンター」について紹介したい。
エンパワメントの意味
精神エンパワメントセンター★1は,精神疾患を患った人が人間としての威厳,権利,意欲,元気などを回復するためのセンターである。その根本的概念はオレムの看護論概念★2に基づいた精神障害者のセルフケア(自己援助)に由来していると思う。しかし,オレムのセルフケアと微妙に異なるのは,治療者側が患者さん(消費者)★3のセルフケアとつながるのではと考えて治療者主体で指導計画を立てるのではなく,患者さんの体験上過去にどのようなことが自己の治癒に役立ったのか,どのようなことが弊害となったのか,的確に治療者や家族を含めた関係者に伝達できるように援助するところからはじまることである。そして,患者さんが自己の治療を決定し,人間としてどう生きるか自分の将来を選択していくところまで援助していく。
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