特集1 看護と死
孤立無援感をどう超えるか―「看護と死」をめぐる看護師たちの語りをきいて
小宮 敬子
1
1日本赤十字看護大学精神保健看護学
pp.40-41
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100182
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この特集は,卒後2年目の教え子井上誉子さんと小林康夫さんとの往復メールがきっかけで企画された。ここで紹介したように,ほかの卒業生や同僚たちに往復メールを転送して読んでもらったところ,思いもかけない大きな反響が返ってきた。そこで,井上さん,小林さんの了承を得て,往復メールへの感想を寄せてくれた方たちに,改めてこのメールを通じての対話が触発したものについて,書いてもらうことにした。
ところが,結果は私の想像を超えていた。こうして集まった原稿を前にして,いま私は,何か慄然とした思いに襲われている。「死」の現場にいる看護者たちの体験の壮絶さに比較して,それを支える基盤のなんと脆弱なことか―。「死」にまつわる人々の苦痛や恐怖を受け止めるという,とてつもなく重い仕事が,1人ひとりの看護者たちに,ひどく孤立した形でゆだねられている現実を前にして,暗澹たる思いさえ湧いてくる。
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