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日本看護倫理学会第12回年次大会 教育講演
語りの触媒としての看護師
Nurse as a catalyst of narrative
村上 靖彦
1
1大阪大学
pp.88-89
発行日 2020年3月20日
Published Date 2020/3/20
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
1 . 声かけの倫理
看護における倫理と言葉の関係について考えてみる。ただし倫理とはいっても治療などの判断や意思決定の場面はここでは関心の外にある。その外側あるいは手前でおいて生じるより基本的な人間関係のレベルで生じる倫理がここでのテーマである。10年ほど看護師の聞き取りを続けるなかで、医療的な判断とは異なる水準での倫理意識が看護実践を駆動しているということに気づいてきた。そのなかにいくつかのトピックがあるのだが、ここではそのうち二つを取り上げたい。
まずは非常に素朴なことなのだがコミュニケーションをとろうとする努力、あるいはコミュニケーションが取れずに断絶してしまうことである。あまりにもあたりまえのことなので看過されがちだがここが出発点になるように感じている。看護師たちはコミュニケーションを取ることが難しい病や障害を持った人たちともコミュニケーションをとろうと努力することを、その倫理の根幹に置いている職種であるといってもよい。意識のない患者がたとえそのまま見取りに向かうとしても、看護師は声をかけ続けサインをキャッチしようとする。声をかけることという能動性と、サインをキャッチしようとする受容性の努力が看護師の実践を支えている場面に数多くであってきた。
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