特集1 看護と死
―「看護と死」をめぐる私の体験―死に立ち会う者の孤独
古城門 靖子
1
1神戸大学医学部附属病院看護部
pp.31-34
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100180
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井上さんの体験に感じたうらやましさ
私が看護師になって,早13年が過ぎようとしています。これまでに外科病棟や集中治療室(ICU),精神科病棟で働いてきました。2年前からは病棟勤務を離れ,リエゾンナースとして看護部に所属しながら,院内の看護師をサポートする役割を担っています。日々の現場で,看護師が遭遇する困難にどう耐え,どのように乗り越えるかを一緒に考える役割です。とはいえ,私自身そういった役割を担うようになって間がないこともあり,現場で起こるさまざまなことに日々おびえながらも悪戦苦闘している毎日です。
そんななか,小宮先生から井上さんたちの往復メールが届きました。最初は,日頃院内の看護師の相談に応じているかのような感覚で読んでいました。辛いよね,大変だよねと思いながら……。しかし,彼女が小宮先生,小林先生とのやり取りを通して,自らの体験の意味を変化させ,成長していく過程を目の当たりにして,うらやましいような,嫉妬のような感情が沸き起こりました。というのも,私の死をめぐる体験は,彼女のような学びの多い体験とはなっていないからです。私の体験は悲惨な状況のまま取り残されているように感じました。そこでこの機会に,私自身の死をめぐる体験がどんなものであったのか,勇気を出して振り返ってみようと思いました。
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