特集 独居高齢者と健康
独居高齢者の孤立死の実態と防止策
岸 恵美子
1,2
1帝京大学医療技術学部看護学科地域・公衆衛生看護学
2帝京大学大学院医療技術学研究科
pp.684-688
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102520
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はじめに
日本は高齢化,核家族化の進行により,平成20(2008)年度の65歳以上の者のいる世帯は全世帯の約4割であり,そのうち単独世帯は2割強を占め,今後ますます増加することが予測される1).単独世帯では,地域社会とのつながりが希薄化し,「孤立」した暮らしにより中・高年者の「孤立死」が増加していると報告されている2).東京都監察医務院は,東京都23区における孤独死の発生件数が,昭和62(1987)年から男女とも年々増加傾向にあることから,孤独死予防の必要性を指摘している3).
独居高齢者の増加と孤立死の増加は関連することが推察されるが,中でもセルフ・ネグレクト状態の独居高齢者は,孤立死に至るリスクが高いことから,孤立死予防のためには,セルフ・ネグレクトの予防・支援策の整備が急務である4,5).
本稿では,独居高齢者の孤立死の実態とその要因としてのセルフ・ネグレクトについて述べ,孤立死を防止するための取り組みや課題について論じていきたい.
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