特集2 “触法患者”への看護ってどうあるべきなの?
➂【心理教育】→前駆症状・介入方法・乗り越える方法を、患者と共に確認することができた
小松 容子
1
1国立精神・神経センター武蔵病院
pp.56-65
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100162
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早期発見と早期介入のための方法論がなかった
興奮性・攻撃性・衝動性への傾向が強い患者への看護では、早期発見・早期介入が理想として語られます。処遇困難といわれる患者の問題行動のなかでは暴力行為が一番多く*1、隔離・拘束の理由として「不穏・興奮」が77.5%と一番多い*2ことからも、これらの行為に至る前になんとか看護できないだろうか、予防的なアプローチはないだろうかと考えたとき、早期発見、早期介入というキーワードが浮かび上がってきます。しかし現場では、“言うは易く行なうは難し”を実感することが多いと思います。
自我機能が低下すると暴力行為・攻撃が生じやすい
統合失調症の患者の暴力や攻撃性の背景(基盤)として、病的体験が強いときにそれらが生じやすく、その際には、自我機能(表1)が部分的あるいは全般的に機能不全に陥っていると説明できます*3。もちろん、引き金となる出来事や状況があって暴力行為に至るのですが、自我機能が低下することによってストレス耐性が低下し、刺激に対する過敏さ(敏感性)も亢進し、暴力行為・攻撃が生じやすくなっていると考えられます。逆に回復過程にあるときは、自我機能も回復しているときと考えられます(図1)。
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