特集2 加害者のための再犯防止プログラムが動いている
②―DV加害男性と共に―動機づけられていないクライエントへのグループワーク
中村 正
1,2
1立命館大学・臨床社会学/社会病理学
2立命館大学応用人間科学研究科
pp.53-59
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100047
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「分離」命令が浮き彫りにする加害者対応の遅れ
家庭内暴力への社会的関心が高まっている。
家庭内暴力への対応の1つの特徴は、保護命令(退去命令や接近禁止命令)、親子分離(一時分離も)、被虐待老人の保護など、関係者の「分離」を命じる制度が構築されていることにある。その結果、被害者ケアの課題はもちろんのこと、必ずしも刑事罰には至らないタイプの行為を加害として表面化させ、何らかの対応が求められることとなった。それは社会制度、心理援助、更生施策などの今後に多大な影響を与えていくだろう。なぜなら、これまで社会のセーフティネットの諸機能は家族に依存していたからである。その家族のなかに宿る暴力が問題とされだしたのだから、今後は「個人」を基礎にした制度構築が必要となることを意味している。
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