- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Ⅰ 50代の時,私に生じた面接スタイルの変化と「ちょっとした,しかし大きな工夫」
50代の時,私に生じた面接スタイルの変化と「ちょっとした,しかし大きな工夫」についてお話ししたい。
私は,晩成型である。大器ではない気がするが,おそらく臨床家としては,晩成型である。52歳か,53歳の時だっただろうか。私の面接スタイルに,ある変化が生じた。その変化が,もう少し若い時にやってきてくれていたらと今にして思うが,今さら時は戻せない。そして今やもう61歳である。
明治大学の私の研究室のお隣さんだったのは,サイコドラマで有名だった高良聖先生である。明るい人柄で人気者の先生だったが,残念ながら63歳でお亡くなりになった。
お酒を飲みながら,高良先生と「明大の教員で,誰が早死にで,誰が長生きか」話し合ったことがある。「決まってるじゃん。早死になのは,僕と諸富さんだよ」。高良先生は,ためらいもなく,そうおっしゃった。ストレートにものを言う方だった。
その高良先生がお亡くなりになった年齢まであと,2年である。
まだ死にたくないからと,最近突然ダイエットをはじめたが,RIZAPのCMに出ていた森永卓郎の闘病する姿を見ると,やせ我慢のダイエットの末に大病してはたまらないと思い,「ま,いっか」とお酒を飲みはじめたりする。
そんなわけで,あと何年臨床もできるかわからないのだが,50代の時に私に生じた変化は,私の面接の本質にかかわる大きなもののような気がする。そして私にとっては大きなものであっても,多くの方にとっては,今回の特集テーマである「面接のちょっとした工夫」程度のこと,と言えるもののような気もするし,さらに言えば,もしかするとRogers派の面接の根幹にも少しは触れることのような気もしないではないので,そのことについてお話ししてみたい。

Copyright© 2025 Kongo Shuppan All rights reserved.