特集 どうあることなのか、意思決定支援—「アドバンス・ケア・プランニング」とか「人生会議」とか
「自分で決める」ことを支援する—その難しい営みに、支援者はどう関わることができるのか
尾藤 誠司
1
1独立行政法人国立病院機構東京医療センター総合内科
pp.392-395
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201198
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
欧米で広がったSDMの基本的な考え方
欧米では現在「シェアド・ディシジョン・メイキング(Shared Decision Making:以下、SDM)」という言葉が、「インフォームド・コンセント」という言葉に取って代わったかのように広く使用されています。これは、インフォームド・コンセントの基本的な考え方が、医療に関する決断において、当事者である患者が意思決定の主体であることを強くイメージさせること、さらには、実際の手続きにおいても医療専門家側は選択肢を含めた情報の提供者として位置づけられ、「専門家=情報提供者、患者=意思決定主体者」という役割分担が明確になり過ぎていることからくる懸念からの状況であると、私は理解しています。すなわち、患者から見たとき、専門家から自分に対して行なう医療/ケア行為に関するあらゆる選択肢とその内容についての説明が行なわれ、それをすべて当事者として理解したとしても、その後「では、どうしますか?」と選択を医療者から丸投げされても、そこで自分自身にとって最善の決断を生み出すことは困難ではないか、という懸念です。
私はこの懸念に賛成します。おそらく、患者自身の選好や人生観、あるいは医療/ケアに対する考え方の表明があり、それを医療者側も理解することによって初めて、医療者も患者個々の事情に合わせた選択肢や情報の提供をアレンジすることができるのではないかと思います。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.