特集 分娩体位考察--よりよい分娩のために
出産体位;自分で自分の体位を決める
菅沼 ひろ子
1
1聖母病院分娩室
pp.381-384
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207377
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はじめに
私たちは,赤ちゃんは分娩台の上で仰臥位で産むものだと,なぜか学習してきている。しかし,初めてその事実を具体的に知らされた時は,かなりの衝撃と抵抗を感じたものだ。クラスメートがその姉の出産体験を私に話してくれたのだった。「それにね,赤ちゃんが出てくる時にね,いきむでしょ,そうすると大便も出てしまってね。すごく恥ずかしかったって……」私はそれを聞いて言葉も出ず,友人をただ見つめていた。その上,「あら,そんなものよ。それが普通らしいよ」と言われ,「ああ,私にはとてもできない,それも他人の目の前で……」と思ったものだ。ところが,今,助産婦となった私は,立場を逆転させている。恐ろしいことだ。あの時の私の大きな心の動揺は,決して忘れてはならないと改めて思うこの頃である。
お産は寝て行なうのが「普通のこと」「あたりまえ」と受けとめられているのだが,今,このように出産体位について再考することは大変に重要なことで,歓迎すべきことである。
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