特集 未来語りのダイアローグとオープンダイアローグ─看護研究における「開かれた対話」
講演
「開かれた対話」の可能性─オープンダイアローグと未来語りのダイアローグ
竹端 寛
1
1兵庫県立大学環境人間学部
pp.122-131
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201490
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学びって何だろう?
自己紹介を兼ねて
僕は講演の冒頭ではいつも,「学びって何だろう?」ということを先にお話しします。学びは,一般に「人の伝えようとしていることを聞く」こととされますが,実はそれは,学びの第二段階です。その前にしなければいけないことがあります。それは,「自分の行為のすべてを注意深く観察せよ」,別の言葉でいえば,「内省」です。皆さんが僕の話を聞くこと,また皆さん同士が言葉をやり取りすることを「水平の対話」と位置づけるなら,同時にそのときに皆さんの心の中で生まれる思いや,あるいはモヤモヤ感などは,「垂直の対話」として位置づけられます。すなわち,自分との対話です。話を聞き,知識をもって帰ることよりも,話を聞いてどんなことを体感するか,あるいは,自分は何をわかっていないのかに気づくことができるかということにこそ,大きな価値があります。
僕は大阪で学生時代を過ごし,NPO大阪精神医療人権センターで病院訪問ボランティアをしたりするなかで,精神病院と出会いました。大学院時代には,『ルポ・精神病棟』の著者で知られ,いまも現役のジャーナリストである大熊一夫に師事し,脱施設化についてずっと考えてきました。
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