特集 ユマニチュードは何が違うかⅠ—その有効性と可能性
「当たり前」あるいは「達人の技」の細部を分析する—認知症情報学によるユマニチュードの“見える化”
竹林 洋一
1,2
1静岡大学大学院情報学研究科
2情報処理学会高齢社会デザイン研究科
pp.285-290
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200167
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2013年の夏、千葉県の施設でイヴ・ジネスト氏と本田美和子医師(p. 310・311)にお会いし、ユマニチュードのケア現場を見学する機会を得ました。そのころ筆者は、親族の介護で試行錯誤を繰り返していたので、ユマニチュードの有効性を実感し、「人間愛の哲学」と「多彩な技」に魅せられました。そして、静岡大学の認知症情報学プロジェクト*1-2の中心テーマとして、本田医師のチームとの「ユマニチュードの評価」の共同研究が始まりました*3。以来、ユマニチュードについていろいろな発見をしながら、その奥の深さを学び続けています。
ユマニチュードの認知度が上がり、賛同者は増え続けていますが、「ユマニチュードって、以前からある技法と同じでは?」、あるいは「達人のイヴさんだからできるのでは?」といった、有効性を認めつつも批判的な見方も一部にあります(p. 308)。一方、「ホントに効果があるの? 科学的とは言えないのでは?」というように懐疑的な人もいるようです。そこで本稿では、情報学の観点から、ユマニチュードのケア技術と習熟度の“見える化”について述べ、「ユマニチュードは何が違うか」を考察します。
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