連載 医師のためのビジネススキル・7
ビジネス定量分析—医師なら分析できて当たり前!?
柏木 秀行
1
1飯塚病院緩和ケア科
pp.2292-2294
発行日 2018年12月10日
Published Date 2018/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225965
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
事例
I医師は卒後7年目の内科医として400床の市中病院(A病院)に勤務している.専門医を取得し,正式にスタッフ医師としてのキャリアがスタートした.初期研修医時代から勤務する病院で,職種間の風通しもよく,学会発表などの指導も受けられる環境に満足していた.これからはスタッフ医師として,診療科の運営についてもしっかり考えていきたいと,心新たにやる気に満ち溢れている.
そんなある日,他の病院で研鑽していた初期研修時代の同期から連絡があった.家庭の事情もあり,またA病院に戻りたいという相談だった.専門分野も一緒で,気心の知れた仲間が増えることはI 医師にとって喜ばしく,いつも「医師の人数は変わらないのに,患者数が増えて人手不足で大変」とぼやいている部長に来年度からの採用について相談した.即断でOKをもらえると予想していたが,「人手が増えるのはありがたいけど,院長は収益上問題ないのかを気にすると思うんだよね.その先生に来てもらって,もっと売上が増えることを示せないと採用できないよ」という反応であった.すっかり気落ちしたI医師は,「それを院長に示していくのが部長の仕事じゃ…」と怒りにも似た気持ちが沸き起こったが,できることを模索しようと考え始めた.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.