特集 予防
1.はじめに—神は細部に宿る
田邊 翔太
1
,
中島 幹男
2
Shota TANABE
1
,
Mikio NAKAJIMA
2
1松江赤十字病院 救急部
2東京都立広尾病院 救命救急センター
pp.1-2
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201048
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ICUの患者は,さまざまな生理学的異常を呈し多くの侵襲的介入を受けている。それゆえに原疾患とは異なる合併症が現れることもまれではない1,2)。これらの合併症はICU滞在日数や医療費の増加,さらには死亡率の上昇とも関連しており1〜3),合併症の発生率はICUにおける医療の質の指標としても用いられている4)。
ICUにおける予防はこれらの合併症を防ぎ,患者の予後を改善させることを目的としているが,不適切な予防は有害になる危険性も孕んでいる。「対象を適切に判断し,有効な予防策で合併症を減らす」ことは,集中治療における重要な歯車の1つであることは間違いない。2020年に米国心臓協会American Heart Association(AHA)がcardiac ICUにおける予防に関する声明5)を発表したことも,予防に対する意識の高まりを反映しているであろう。
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