特集 地域包括ケアシステムの展望
―宅老所「よりあい」下村恵美子さんに聞く―家族から介護を奪ってはいけない―いま改めて、システムよりも共同体
土本 亜理子
pp.46-52
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102087
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「ぼけても、障害があっても、住み慣れた町で暮らし続けたい」。
「宅老所よりあい」(福岡市)は、認知症高齢者の在宅生活を支えようと、1991年11月に開設された。以来20年間、民家を利用した通い(デイサービス)と泊まり(ショートステイ)で、自宅を中心とした暮らしをできるだけ継続することを支えてきた。全国に広がる宅老所の先駆けであり、グループホームや小規模多機能型居宅介護など、現在の地域密着型サービスの源流でもある。
宅老所のイメージは「お年寄りのための“もうひとつの家”」だ。既存制度に縛られることなく、地域ニーズに応じた小規模多機能なケアをきめ細やかに提供するそのありようは、システム以前の「地域包括ケア」を本来的に担ってきたと言ってもよい。
その「よりあい」が、ケアの柱の1つであるグループホームを閉じて、「小規模な入所施設」の立ち上げを計画している。地域の認知症ケアを担う拠点として、小規模とはいえ、本格的な入所施設の運営に、いま乗り出すのはなぜか? そして、この先どのように変化しようとしているのか? 代表の下村恵美子さんにお話をうかがった。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.