連載 精神科医の家族論・3
母親と息子・2―D. H. ロレンスの場合
服部 祥子
pp.494-497
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101351
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母と息子の親密な結びつきを見て,息子の妻が終には精神を病むことになった事例,引きこもり続ける息子が母に暴力をふるう根底には母が意識的無意識的に息子が離れてゆくことを許さなかった事例,溺愛されて育てられたはずの息子が認知症の老母を虐待から死に至らしめようとした事例等々,私が遭遇した人々の中には,前回述べた諸学説がケースの理解を深めてくれたものも多い。
20世紀イギリスの個性的な文学者D. H. ロレンスはフロイトが提出したエディプス・コンプレックスに当てはまるような母子相姦的側面をきわめて強くもった人であった。
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