特集 小児訪問看護の可能性
障害をもつこどもと家族を支援する―相談業務からみた小児訪問看護の現状と課題
山西 紀恵
1
1社会福祉法人横浜共生会地域支援センター南海
pp.116-121
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101256
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はじめに
1990年10月の「老人訪問看護制度」の制定をうけ,1992年4月,訪問看護ステーションが開設されて本格的に行なわれるようになった訪問看護は,高齢者を対象としていた。その後,1994年健康保健法の改正により,訪問看護は年齢を問わず利用できるように法律上整えられた。しかし,地域の中ではまだ高齢者が対象とみられていた。
2000年の診療報酬の改定,「介護保険法」の制定,社会福祉事業の見直し,在宅療養の変化等に伴い,それまで数が少なかった小児訪問看護が注目されるようになり,ここ数年地域の中で小児訪問看護は,主に重症心身障害児者を対象としての存在が明確になってきたと思う。そのため,地域でも「訪問看護ステーションは年齢を問わないで訪問看護サービスを提供する」という認識が定着してきた反面,これまでにはなかった課題も明らかになりつつある。
本稿では,小児訪問看護の現状を整理しつつ,地域における小児訪問看護の役割を再認識し,これからの課題を考えていきたい。
さらに,横浜市独自の制度として,1980年から始まった年齢を問わず障害がある方の地域での生活を支援する拠点施設であり,現在私が所属している「障害者地域活動ホーム」と,相談事業などを行なっている「地域生活支援センター」という,地域で生活をしていくための支援事業所を紹介していく。
なお,18歳以上の重症心身障害者は小児神経内科が診ることが多いという理由で,訪問看護ステーションは年齢を問わず小児科に入れる傾向があるため,本稿では「重症心身障害児者」とし小児訪問看護に入れることをお断りしておく。
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