特集 小児訪問看護の可能性
訪問看護師のかかわりによって人工呼吸器から離脱し,自発呼吸を取り戻した小児のケース―用手的自然呼吸法を取り入れた中枢性呼吸機能不全患児への看護
下地 節子
1
1沖縄県看護協会訪問看護ステーションのぞみ
pp.111-115
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101255
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はじめに
在院日数の短縮,医療費削減の推進,在宅指向のニーズなどにより,近年,人工呼吸器療法を受けながら在宅で生活する小児も増えてきている。それに伴ない,訪問看護師に託された役割と期待は大きく,利用者や家族に添いながら看護の専門性を発揮していくことが求められている。
ウイルス性脳炎に罹患し,脳幹部の機能が障害されてまったく自発呼吸できず,人工呼吸器療法を余儀なくされた2歳児の訪問看護を受け持った。
家族は人工呼吸器の助けがないと生きていけないわが子の現状を受けいれながらも,「できるだけ元気な頃に近い状態に回復させてほしい」と希望していた。
これまで人工呼吸器を装着した小児のケースでは,疾患を問わず,人工呼吸器を装着した状態で呼気介助(スクイージング)呼吸リハビリを行なっていた。しかし本ケースでは,脳幹部機能障害による呼吸不全の病態生理に着目し,人工呼吸器をはずして行なう呼吸リハビリ(用手的自然呼吸法)を実施した結果,自発呼吸が復活し,人工呼吸器を装着しなくても呼吸できるようになり,小児の本来の生活を取り戻すことができた。その経過を報告する。
倫理的配慮:研究発表についてはご両親より同意を得ている。
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