特集 ネットワークが地域を支える
在宅ホスピスを支えるネットワーク―看護と介護の連携を中心として
近江 真貴子
1
,
成田 憲史
1
,
大村 哲夫
1,2
,
岡部 健
3
1医療法人社団爽秋会岡部医院
2東北大学
3医療法人社団爽秋会
pp.992-995
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101210
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はじめに
現在,自宅で死を迎える人は1割程度にとどまる反面,病院で亡くなる人は8割以上にのぼる。その背景として国民皆保険制度と医療技術の向上,核家族化や共働きによる家族関係の変化,労働人口の都市集中化と地域共同体の崩壊による社会変化などが考えられる。
こうした変化は,必然的に病院という場において看護職が介護や看取りを担わなければならない状況をつくりだしてきた。
一方,本来自然現象である死は,家庭から姿を消し,家族の介護力や看取りに関わる文化は急速に失われてしまった。
本院は今から10年前,病院の管理下で最期を迎えるのではなく,自宅で医療処置を受けながら自分の人生を生きることを支援するために,在宅療養支援診療所として開設し,現在は年間約200人(在宅看取り率84%)の看取りに関わっている。
昨今の社会情勢の変化から,再び在宅での看取りが見直されるようになってきた。団塊世代が寿命を迎える2038年問題を前に,在宅支援を行なう医療機関や介護事業所が増加するなど,遅ればせながら体制は整いつつある。
各地で病院と在宅療養支援診療所をはじめとする地域の診療所との連携が行なわれてきているが,当院ではそのことはもとより,チームケアのなかでの専門職同士の連携,特に看護と介護の連携に重点を置いてきた。本稿ではこの看護と介護の連携を中心に紹介していきたい。
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