特集 訪問看護への応援歌
在宅痴呆性高齢者へのアプローチは訪問看護から
須貝 佑一
1
1高齢者痴呆介護研究・研修東京センター
pp.9-11
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100597
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介護保険制度でサービスの量的充足は進みつつあるが…
介護保険制度が始まってから在宅の高齢者のケアの状況が大きく変わってきたように思える。痴呆性の高齢者のいる家庭では介護保険を利用してさまざまな介護サービスを手軽に利用できるようになった。その点では大きな前進があったというべきだろう。しかし,介護保険制度の枠組みのなかで実際に行なわれているケアの内容や質をみると,まだ多くの問題を抱えているのも事実である。
筆者がとくに問題と感じているのは,在宅の痴呆性高齢者への専門職側からのアプローチの仕方にある。在宅の痴呆性高齢者の介護の問題が在宅サービスセンターや自治体の窓口に持ち込まれると,まず介護認定を受けるよう指導が行なわれる。それはそれで必要なことではあるが,その後介護認定の度合いにもとづいてケアプランが立てられる。介護サービスを受ける在宅の痴呆性高齢者のなかには,家族の疲弊が強いために差し迫ったケアと保護の必要性が先行して,本人の病状の医学的評価や治療の努力がなおざりになったままサービスのみが実施されているケースも少なくない。
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