特集 訪問看護への応援歌
近い将来のイメージをデッサンし,その実現に賭けてみては
中島 紀恵子
1
1新潟県立看護大学
pp.6-8
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100596
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“居住福祉施設化”への新しい波
高齢者は,状態の安定しているときもあり,他の病気の再発や全体的な病態が悪化するときもあります。そして,いずれターミナル期がやってきます。病態変化の境界も不鮮明ですから,質の高い療養型治療機関がそばにあって,いつでも必要なときに援助してもらえる仕組みがないと介護家族は訪問系サービスメニュー(介護,看護)のみではとても不安で,在宅ケアを続ける気力はどんどん低下していきます。これはごく自然の心情です。
今も昔も,長期施設サービスと在宅サービスとは別物と考える人が多いのですが,これは長い間続いた法制度の“しばり”に馴らされてきた影響によるものでしょう。その最たる例が措置制度です。ここから発想を転換し,利用者のニーズ中心の諸サービスを協働的にアレンジすることが援助者に強く求められるようになりました。そのように進めるには在宅サービスシステムの強化しかないということで,介護保険制度は導入されたと言えるでしょう。実際介護保険開始後には,施設(長期滞在を託する者)と在宅(地域に暮らしつつ居宅へのサービスを選択する者)サービスの地平を広げるために,新しい発想にむけて果敢に挑戦する各種施設・機関の従事者の活動が目立つようになりました。その1つが特別養護老人ホームや老人保健施設の個室化・ユニットケアの運動です。21世紀介護施設の鍵概念は「居住福祉型施設」だといいます。「施設から自宅へ,自宅から在宅へ」住まい環境そのものを住宅型福祉にという考え方です。
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