焦点 質的アプローチが変える臨床研究
痴呆性高齢者へのナラティヴ・アプローチ―回想ボードを用いた試み
大島 真紀
1
1東洋英和女学院大学大学院人間科学研究科修士課程
キーワード:
ナラティヴ・プローチ
,
ナラティヴ・セラピー
,
痴呆性高齢者
,
回想法
,
回想ボード
Keyword:
ナラティヴ・プローチ
,
ナラティヴ・セラピー
,
痴呆性高齢者
,
回想法
,
回想ボード
pp.423-432
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100215
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【要旨】痴呆性高齢者の精神療法である回想法をナラティヴ・セラピーとして捉え,そこから痴呆性高齢者ケアの可能性を探った。高齢者専門病院に入院中の痴呆性高齢者を対象に回想法個人面接を行ない,その後,高齢者と共同で回想ボードを作成した。それを生活の場に置くことで,回想法場面で生まれた高齢者の新しいself narrativeが生活の場でも根づき,病棟スタッフとの関係のなかでさらに発展した。それは患者にとって大きな喜びとなった。一方,病棟スタッフは患者のナラティヴに出会い,さまざまに感じ,学びながら,痴呆性高齢者ケアについて再考することになった。回想ボードによって病棟がナラティヴ・コミュニティに近づき,患者とスタッフの間に新しいケア的な関係性が生まれた。
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