研究報告
高齢化社会における在宅介護者の現状と問題点―8486人の介護者自身の身体的健康感を中心に
町田 いづみ
1
,
保坂 隆
2
1明治薬科大学・医療コミュニケーション学
2東海大学医学部
pp.686-693
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100310
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はじめに
研究の背景
高齢者の自殺は今や世界的な問題のひとつである。日本の高齢自殺者の実態に関する警察庁の調べ(生活安全局地域課資料)によれば,2003年度の50歳以上の自殺者数は2万143人であり,これは,1994年に比べて実に60.7%(1万2170人)の増となる。
近い将来に予測される日本の超高齢社会は,高齢者が高齢者をケアするという新たな課題をも含んでいる。こうした現状が介護をする高齢者にとっての大きなストレッサーとなることは容易に推測されるところである。ストレス状態の長期化や重症度は,当然,「うつ」を引き起こす要因となるため,高齢者の自殺件数の増加は否定できず,その対策が急がれる。
高齢者の新たな問題となると思われる在宅介護の現状を明らかにすることは,高齢者の置かれた環境をいかに整備するかについて,さらに,行政的な面を含むサポート・システムについて考える際の必要不可欠な基礎的情報となる。
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