特集 介護予防をどうすすめる?・2 介護予防事業の多角的取り組み
高齢転居者の社会的孤立と介護予防
斎藤 民
1
,
甲斐 一郎
1
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻
pp.713-717
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100141
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高齢転居者に対する介護予防の意義
1990年代から,都市部に暮らす子ども宅に高齢者が呼び寄せられる,いわゆる「呼び寄せ老人」という現象が指摘され始めた.転居先に友人もなく,閉じこもりがちな生活から痴呆や寝たきりに移行する可能性があるという1).しかし,こうした高齢者の出現割合や,その特徴を明らかにした研究はわずかである.
1. 高齢者の転居率
日本では高齢者は転居しないと思われてきたが,1980年代以降,高齢期に転居率が高まる現象が注目されるようになった2).
平成12年度の国勢調査では,65歳以上高齢者の他自治体からの転入率(過去5年間)は4.7%であり,必ずしも高い割合ではない.ただし地域差があり,高齢者の転入率は大都市近郊で多い.例えば東京都市部においては,他自治体からの転入率(過去5年間)が10%を超える自治体が8つある.このうち,施設入所を目的とする転入が多いと考えられる自治体もあるが,一方でこうした施設が少ないにもかかわらず,転入が多い自治体もある.
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