連載 安全な医療のために―医療事故予防への提言・5
「個」から「組織」へ―安全をめざす組織の課題
山内 桂子
1,2
,
山内 隆久
3
1北九州市立女性センター
2国立小倉病院附属看護助産学校
3北九州大学文学部人間関係学科
pp.731-737
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901985
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安全アプローチの視点
皆さんの病院で医療事故防止に取り組むことになったら,まず何をしますか? 今回は,医療の安全のためのアプローチについて整理してみましょう.
Reason1)によると,組織は事故防止に取り組む姿勢によって,「病的組織」「場当たり的組織」「生産的組織」と分けられます.危険を危険と認めない「病的組織」は論外としても,これまで多くの組織は,事故が起こると,失敗した者を訓練したり,不具合な設備を修理するというような局所的な対応で済ませてしまう「場当たり的組織」でした.しかし,これからの組織は,事故を「システム全体を改良する契機」とみなすような「生産的組織」であることが必要です.つまり,事故を起こした個人・設備に部分的に注目するアプローチから,組織・システムを総合的にみて改善するアプローチへの転換が必要です.
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