特集 多様化時代の病院人事
個を伸ばす人事と組織づくりに取り組む—原三信病院
平 祐二
1
1医療法人原三信病院
pp.739-742
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901297
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はじめに
現在の医療を取り巻く環境は,急速に変化しつつある.未だに例を見ない高齢化社会の到来,疾病構造の変化,さらには医療ニーズの多様化といった対応に急を要する問題が次々と出現してきている.一方,病院経営の観点から見ても据置きに近い医療費・薬価差益の圧縮などと医療費抑制政策が続き,これに加えて病床利用率の低下や,医療原価の上昇と相まって,病院の健全経営はますます困難になりつつある.もともと,医療は労働集約型産業であり,人件費の経費率は他の産業界には例を見ないほど高率である.このような状況下で病院を運営していくには,従来にも増して「ヒトと組織のマネージメント」の重要性が高まってきた.
当院では以上のような現状を踏まえ,数年前から「ヒトと組織のマネージメント」に取り組んできた.これは,組織の活性化自体を直接的な目的とするのではなく,結果として活性化につながるとの考えである.つまり,職員一人ひとりの意欲を高め,能力を引き出し,これを伸ばすことが「ヒトのマネージメント」の中心と考えるからである.さらにいえば,職員の一人ひとりが自らの自発的な意志で活動することを最重要課題としている.また「組織のマネージメント」では,それぞれの能力を高めた者がその能力を生き生きと発揮できる環境を整えていくことに主眼を置いている.
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