連載 安全な医療のために―医療事故予防への提言・1【新連載】
医療の安全―連載にあたって
山内 桂子
1,2
,
山内 隆久
3
1北九州市立女性センター
2国立小倉病院附属看護助産学校
3北九州大学文学部人間関係学科
pp.378-383
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901004
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横浜市立大学医学部附属病院の医療事故と,その報道
今年1月に起きた横浜市立大学医学部附属病院の「手術患者取り違え事故」(以下,横浜市大病院事故)は,マスコミに大きく取り上げられました.
多くの新聞では,この事故の経過を,①病棟看護婦と手術室看護婦の患者受け渡し時の取り違え・確認ミス,②麻酔医も主治医も確認が不十分,③執刀医は疑問を感じながらも手術続行,④手術後に取り違いに気づく,と報道しました.つまり,この事故は看護婦と医師のミスが重なったために起きたものとしています.「看護婦受け渡しミス,患者の名確認不十分」(1月15日,朝日新聞),「手術室搬送中取り違い,疑問を感じながら執刀」(1月15日,日本経済新聞)という見出しで,医師や看護婦の個人のミスを強調して責任を追及する論調です.「この医師や看護婦には患者を治そうという情熱を感じられない」と感情的に思えるコメントを載せたコラムもありました(1月15日,朝日新聞「天声人語」).
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