特集 リエゾンナースを活用する
リエゾンナースと看護管理者との共働―ケアの質向上のための一方策
久保田 加代子
1
1筑波大学附属病院
pp.208-215
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901881
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はじめに
医療コストの増大,医療サービスを受ける側の権利意識,Quality of lifeへの認識の高まりなどとともに,医療の質と費用効果が問われる時代である.看護においても,看護ケアの効果,患者の満足度の視点からの議論が多くなってきた.絶対的な看護婦数の不足の解消に加えて,質的にも人的資源の有効活用,育成の必要性が提言されている1,2).わが国でも,最近では,修士課程を終えた看護婦が臨床で働く数も少しずつ増えており,専門領域の看護について教育を受けたクリニカル ナース スペシャリスト(Clinical Nurse Specialist)の活用が,看護管理者にとって課題となってきた.
修士修了のクリニカル ナース スペシャリストは,1人で,熟練した臨床家,教育者,研究者,コンサルタントという4つの役割を果たし,患者ケアの結果に効果をもたらすことができるので,費用効果が高いといわれる3).Walkerの看護管理者のクリニカル ナース スペシャリストの有効性と費用効果性についての認識調査では,72施設の82人から回答が得られ,56.8%の施設で平均4.3人(施設によって1~35人の幅がある)のクリニカル ナース スペシャリストを雇用していた.看護管理者の95%以上が,クリニカル ナース スペシャリストは患者ケアの質の改善に役立っており,有効性について満足していると答えている4).
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