調査研究
看護基礎教育における学生の社会化(socialization)に関する研究―ジレンマモデルによる医師との共働姿勢の調査
井上 智子
1
,
佐藤 禮子
1
,
武田 祐子
2
,
雄西 智恵美
3
1千葉大学看護学部
2東京医科歯科大学大学院
3東海大学健康科学部看護学科
pp.748-752
発行日 1997年10月25日
Published Date 1997/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901689
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はじめに
看護基礎教育は,取り組まなければならないさまざまな問題を抱えている.なかでも共働者としての医師との接点の持ち方は,大きな課題であろう.教育プログラム上は「チーム医療」として,あるいは「診療の補助」として頻繁に登場しながら,医師との共働姿勢のあり方をとらえた教育内容はカリキュラムのなかにはほとんど見当たらない.そのため学生は,現実の医療の場において,役割モデルとしての教員や看護スタッフから「医師との共働姿勢のあり方」を独自に学んでいると推察される.
所属する集団の基準や,集団に属する他者の行動を模倣することで,必要な,しかし狭い範囲の認識や行動を現実に発達させてゆくプロセスは,「社会化(socialization)」と呼ばれ,看護基礎教育では臨床実習においてそれが多くみられる.学生にとっての社会化は,好ましい態度変容をもたらす場合もあれば,集団が持つ好ましくない習慣や伝統の再教育となることもある.
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