特集 母の日のために
働らく婦人と法律
大羽 綾子
1
1勞働省婦人課
pp.31-34
発行日 1954年5月1日
Published Date 1954/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200602
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法律とはむずかしいものか?
何事もない,平穩な時には,私たちは法律上の権利とか保護などというものは,さつぱり思出さないのが普通です.ところが,大きな困難に出くわしたり,苦しい目にあつたりすると,はじめて法律のことを考えます.たとえば,結婚すると夫婦の権利はどういうことになるかなどという様なことを考える恋人はまづないと云つてよいでしよう.それが,いざ,離婚しようかという時になると,どうやつたら,最も有利に正式離婚ができるかしら,離婚したら夫婦の財産権はどうなるだろう,子供はどつちで引取るべきかなどと,考え始めるのが人情です.法律というものは,それほど,私どもの日常には親しみにくいものですが,実際には,まことに身近かなことについていろいろと考えてくれているもので私たちに特に関係の深い法律だけでも知つていたら,どれほど役に立つか知れないのです.それによく読んでみれば,今の法律はやさしい日本語で分りやすく書いてあるので,外国語の樣にむずかしいものではありません.
もし,仂らく婦人の一人一人がもつと自分たちをまもる法律のこと知つているようになれば,彼女たちの立場は必ずもつとよくなると思います.その意味で,ここでは,仂らく婦人の法律上の権利についてもう一度,みなおしてみて頂きたいと思います.
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